教育研究の紹介

研究部            研究開発/教育実習/教育研究報告/生徒活動の記録保管

文部省指定 第1回研究開発(昭和58年度〜昭和61年度)

昭和58年度より昭和61年度までの4年間,文部省(当時)から研究開発学校に指定され,以下の研究を行いました。

① 工業の各学科に対応した工業基礎課程の開発

② 各学科共通に履修する工業科目「技術と文化」と「情報技術基礎」の開発

③ 「課題研究」の開発

上記の研究実践の成果として,平成6年度から,本校の開発科目「課題研究」,「情報技術基礎」が新学習指導要領で必修科目として採択されました。

文部省指定 第2回研究開発(平成7年度〜平成9年度)

平成7年度より平成9年度までの3年間,文部省(当時)から研究開発学校に指定され,以下の研究を行いました。

① 科学技術の基礎教育に対応した新教科「科学技術」の開発

      技術の進歩に伴い,専門技術分野ごとの発展とそれらを複合した新しい分野の技術も生まれ,技術者に創造的な能力が求められています。工業高校でもこれまでの技術系の学科に加えて新しい技術分野の学科ができていますが,科学技術の基礎教育に重点をおいた教育の実践はまだありませんでした。
      そこで,基礎となる理科・数学を主とした科学教育と技術教育を有機的に結び付けた教育課程として当時の学習指導要領にはない新教科「科学技術」を設けました。
      この教科の構成は,「科学技術基礎」及び「数理基礎」の2科目よりなります。

「科学技術基礎」:理科・工業に関する基礎的な内容を実験や実習を通じてすべての生徒に共通に履修させ,生徒の科学技術に対する興味・関心を高めることを目的としました。
「数理基礎」:理科及び工業における基礎的な数理処理能力を養成し,かつ,応用問題を通じて理科および工業に興味と関心を持たせ,工業教科への導入を図ることを目的としました。

  ② 「人と技術」

     真の豊かさとは何か,私たちの支えている技術は今後どのように発達していくべきなのか,人と技術のあり方が問われています。そこで,技術が発達した経緯や日本の風土・環境と将来の技術者像を考えさせました。この科目を学ぶことにより広い視野で技術を見る力を養い,将来人としてどう生きるべきかといった発展課題を主体的に考えることができるような人の育成を目的としました。

  ③ 生徒の興味・関心,適性,進路希望に応じた選択制の導入

システムとして「コース制の導入」(一括入試制度)と「選択制の導入」よりなります。

コース制の導入:一括入試で入学した1年生ではコースに分けずに,工業系の共通科目と新教科「科学技術」を共通履修します。コースは,機械デザインコース,電気・電子コース,理数・情報コース,環境・化学コース,建築デザインコースの5コースとしました。生徒は,1年次に行う数回の希望調査でコースを決定します。

選択制の導入:2年生以後,生徒の興味・関心,適性,進路希望に応じて科目を選択できるようにしました。そのために従来からある「必修選択科目群」(8単位)と「選択科目群」(4単位)に加えて,新たに「コースを越えて選択できる科目群」(6単位)を開設しました。生徒がこれら3つの選択科目群から,学習する科目を主体的に選択することにより,生徒それぞれに対応した学習を可能にしました。

  第2回目の研究開発で開発した新科目「数理基礎」と「人と技術」の内容の一部が,平成15年度からの学習指導要領で採択され,それぞれ現行(当時)の「工業数理」,「工業基礎」に採り入れられて「工業数理基礎」,「工業技術基礎」に名称変更されて施行されました。


文部科学省  平成14年度指定 スーパーサイエンスハイスクール研究開発[第1期]

本校は,平成14年度より平成16年度までの3年間,文部科学省からスーパーサイエンスハイスクール研究開発学校に指定され,研究開発課題「最先端の科学技術を教材として取り入れ、理工系大学と連携を図りながら、理数系教育における学力向上とともにセンス・創造性・独創性及び倫理観を高める新しい科学技術教育システムの研究開発」を設定し,全校をあげて第1期SSH研究開発に取り組みました。

科学技術への意識が高い工業高等学校の利点を生かし,理数系の学力に加え,科学技術に関するセンス・創造性・独創性および倫理観を兼ね備えた生徒を育成することを目的としました。東京工業大学と連携して,普通高校とは異なる実践的な教育を行っている科学技術系の専門高校から,理工系大学へつなげる科学技術教育のあり方を研究しました。

研究開発の取り組みの一部を紹介します。

・専門学科と普通教科の全教員による共同指導体制を拡充し,かつ,高校教員と大学教員がチームを組んでカリキュラムを開発し実践しました。

・全生徒に対して一流の技術者や研究者の最先端の研究や興味ある真実に触れさせ,学習や進路に対する意欲を十分に喚起させるような教育を行いました。

・東京工業大学の学部学生や大学院生を課題研究の指導補助員(TA)として活用し,高校生,大学生双方へ科学技術教育の相乗効果を狙った教育を実践しました。

・新規特設科目として,「先端科学技術入門」,「科学技術」などを設置し,新科目の開発と実践を行いました。

本研究開発の成果は,「創造性の基盤となる力」として「わかる」力,「えがく」力,「つくる」力を育成する教育課程として位置づけ,平成17年度からの本校の教育課程の基礎・基本になっています。

文部科学省  平成17年度指定 スーパーサイエンスハイスクール研究開発[第期]

平成17年度から平成21年度までの5年間,前回に引き続き,文部科学省からスーパーサイエンスハイスクール研究開発学校に指定され,研究開発課題「未知な課題への挑戦力,国内外とのコミュニケーション力を育成するための,高大接続を活かした科学技術教育システムの研究開発」を設定し,大学の支援を得ながら全校をあげて研究開発に取り組んでいます。

前回のSSH研究開発の成果をもとに,創造性の基盤となる力,すなわち,「わかる」力,「えがく」力,「つくる」力の育成を継続し,さらに,東京工業大学と連携しながら,「高大接続を活かして発展的内容を取り入れた科学技術教育を行うことにより,未知な課題への挑戦力,国内外とのコミュニケーション力の育成」を目指しました。

研究開発の取り組みの一部を紹介します。

・第2学年で実施する新科目「科学技術研究入門」を開発した。本科目では,『理論や法則と科学技術との関連を理解させ,自ら課題を発見・設定し,その解決をはかる方法を理解させるとともに,得られた知見や成果を表現・発表し,討論を通して相互理解する』力を育むことを目的としています。

・『国際性の育成』を行う取り組みを導入した。例として,1) 海外の高校生と科学技術をテーマとした国際交流を行う。2) 外国人留学生をTAとして活用する。3) 希望生徒は,第3学年の「課題研究」で国際交流を行う。等を実践しました。

・挑戦力の育成強化のために,高大接続を活かして発展的内容を取り入れた「さきがけ教育」を第2・第3学年の数学と第3学年の理科に導入しました。

こうした実践の教育効果により,未知な課題への挑戦力,すなわち,「いどむ」力,および,国内外とのコミュニケーション力,すなわち,「わかりあう」力,の育成を可能としました。

これらの成果を,「わかる」力,「えがく」力,「つくる」力に加えて「いどむ」力,「わかりあう」力を育成する教育課程として位置づけ,平成22年度からの本校の教育課程の基礎・基本としています。

文部科学省  平成22年度指定  スーパーサイエンスハイスクール研究開発[第期]

平成22年度から研究指定期間5年間として,文部科学省から第3期目となるスーパーサイエンスハイスクール研究開発学校に指定され,平成26年度まで,以下の内容で研究開発を行いました。

研究開発課題は「国際連携・高大接続教育を行う科学技術高等学校の新たな展開に向けた,ものつくりの過程を自らの発想でデザインし広く発信する科学技術コミュニケーション教育の研究開発及び研究成果普及アーカイブズの開発」と設定しました。

過去2回8年間(平成14年度〜平成16年度,平成17年度〜平成21年度)のSSH研究開発の成果である科学技術教育システムを基礎・基本として,「わかる」力,「えがく」力,「つくる」力,「いどむ」力,「わかりあう」力の育成を持続させ,大学の支援を受けながら全校をあげて取り組み,「伝え合い学び合う」力の育成を目指しました。

主な取り組みとして,

・第2学年で実施する新科目「科学技術コミュニケーション入門」の開発

 ものつくりの過程の中で自ら課題を見つけ,主体的に判断・行動し,問題を解決する資質や能力を育成するとともに,自ら導き出した成果を,協同学習の中で意見をす  りあわせ意志決定して得られた結論及びその過程をシナリオのような詳細な計画にまとめ,教育ゲームやICTを活用した表現発表会等で発信させることによるコミュニ  ケーション力の育成を図りました。

・国際交流の充実

 海外国際交流協定校との連携を実施しつつ,さらなる海外の協力校の拡充をはかるともに,東京工業大学国際室及び留学生センターとの連携を継続しました。

・研究成果普及への試み

 本校のこれまでのSSH研究開発で開発した様々な成果をアーカイブズとして開発し,新たなディジタル教材としての活用を試みました。

等を実践しました。

平成27年度は,1年間の経過措置として引き続きSSHに指定され,第3期SSH研究開発で得られた成果の実践と普及を行いました。


文部科学省  平成27年度指定  スーパーグローバルハイスクール研究開発

平成27年度から研究指定期間5年間として,文部科学省からスーパーグローバルハイスクール研究開発学校に指定されました。

研究開発課題を「科学技術系素養を持つグローバルテクニカルリーダーの育成」と設定して,多様化する国際社会で活躍する人材を輩出する視点から,科学技術系素養を持つ科学技術高校生徒に育成すべき資質と能力を提案し,高大連携教育を大幅に増強した“グローバルテクニカルリーダー”プログラムを実践し,成果普及に努めることを目的としています。主な取り組みとして,SGHにおける3つの新科目,第1学年対象の「グローバル社会と技術」,第2学年対象の「グローバル社会と技術・応用」,第3学年対象の「SGH課題研究」を開発しました。

文部科学省  平成28年度指定  スーパーサイエンスハイスクール研究開発[第期]

研究開発課題「科学的に考え技術的に取り組み問題解決し,国際的に活躍する人材を育む教育方法の開発」として,これまでの14年間の成果を礎にした新たな3つの新科目「STEM課題研究(第3学年)」,「科学技術研究(第2学年)」,「科学技術基礎実験(第1学年)」の開発と,引き続き,国際交流の充実化,研究開発成果のアーカイブズ化を掲げ取り組みました。

令和3年度は,1年間の経過措置として引き続きSSHに指定され,第期SSH研究開発で得られた成果の実践と普及を行いました。