学長・校長挨拶
学長挨拶
東京工業大学
学長 益 一 哉
新しい未来を築く科学技術を学び、
困難に立ち向かう志をもつ人材を育てるために
COVID-19(新型コロナ感染症)パンデミックの3年間、世界中の多くの人々は多くの困難の中、個々の生活を守り、社会活動を必死に維持させてきました。完全な収束には至ってはいませんが、新たな世界が始まっています。3年間を振り返り、私自身反省があります。コロナ禍に見舞われた2020年2月から4月にかけてのことです。感染そのものの得体がよく理解できない中、じっと耐え忍ぶことでコロナ禍が去ってくれないか、そうすれば学生達の生活が戻り、大学に活気が戻ってくると思ったことです。
この挨拶文の最初の字面にも現れていますが、私自身受け身だったということです。困難に直面した時に立ち向かおうという気概を持ちえてなかった。科学技術こそが新しい未来を築く源泉です。しかし、その前に必要なのは、どんな困難にあっても正面から向き合う気持ちや志をもつことです。
東工大附属高校は、このような気持ちをもつ人材の育成を目指しています。普通科の授業に加えて、新しい科学技術の基礎を学ぶことができる高校で、スーパーサイエンスハイスクールにも指定されています。他の高校にない特徴は、科学技術の最先端研究や開発に携わっている東工大の教員もその教育の一部に参加しているところです。最先端科学技術の息吹を直に感じて、学ぶことができます。また、高校生活のハイライトとなる課題研究は、自らが課題を設定し、問題点をあきらかにし解決へ導くという、まさに科学技術で未来を築く第一歩です。
東工大附属高校は皆さんの知的好奇心を掘り起こし、そして成長させてくれるでしょう。新しい未来を一緒に築きましょう。
令和5年度 第19回入学式 学長祝辞
令和4年度 第18回卒業式 学長祝辞
校長挨拶
東京工業大学
附属科学技術高等学校
校長 中 川 茂 樹
国際社会において重責を担える理工系人材の育成
本校は,明治19年(1886年)の創立を起源とし,その後の変遷を経て,昭和26年(1951年)に東京工業大学附属工業高等学校,平成17年(2005年)に東京工業大学附属科学技術高等学校と名称を変えて現在に至っており,創設130年以上もの長い歴史と伝統のある理工系の高等学校です。時代を先取りした新しい考え方に基づき設立された最先端を行く学校として,科学技術に関わる理工系人材の育成に貢献してまいりました。
近年では文部科学省から,「スーパーサイエンスハイスクール(略称:SSH)」と「スーパーグローバルハイスクール(略称:SGH)」の2つの研究開発校の指定を受けて活動を行ってきました。2つの指定を同時に受けてまいりましたことは,本校にとりまして大変名誉なことと考えています。
SSHにつきましては,文部科学省が制度を開始した平成14年度から継続して研究開発校の指定を受けている数少ない高校の一つです。科学と技術の基盤となる基礎的な力は当然としながら,次の6つの力を習得する教育を実践しています。
第1は,新しい知識やものごとを「わかる」力,
第2は,実験や実習を通して「つくる」力,
第3は,新しい概念やイメージを想像し「えがく」力,
第4は,未知の課題に挑戦する「いどむ」力,
第5は,国内外の人たちと「わかりあう」力,
第6は,知識・技能と課題とを有機的に「結びつける」力。
また,SGHにつきましては,将来、国際的に活躍できる科学技術の素養を持つグローバル・リーダーの育成を図る目的で,平成27年度から5年にわたる研究開発校の指定を受け,海外の高校などとの交流プログラムや授業カリキュラムの整備等を進めてまいりました。
このような先駆的な科学技術教育や国際性涵養のための制度を活用して構築してまいりました各種交流事業や教育プログラムの実践,授業カリキュラムの改善等により,今後ますます必要とされる「国際社会において重責を担える理工系人材」を送り出せるものと確信しております。
また,本校は東京工業大学との連携にも積極的に取り組み,新しい試みに挑戦しています。長年にわたる東京工業大学の支援のもと,大学との交流を深め,高校,大学,大学院,さらには社会人教育までの一貫した教育体制の構築を目指した,日本における先駆的な取り組みを実践してまいりました。
以上のように,本校では,生徒が自分自身を磨き,科学技術をしっかり修得し,さらに大学や大学院で学び,そして社会に巣立ち活躍するための基礎を築くとともに,将来グローバルに活躍するリーダーとなり,未知の課題に挑戦する力を発揮して,日本及び世界の発展に貢献できる人材となることを大いに期待しております。
令和5年度 第19回入学式 校長式辞
令和4年度 第18回卒業式 校長式辞